Disurption Index

概要

Disruption Index (Disruptiveness, Disruptive Index, D-index とも呼ばれる。以下 DI) は、Funk と Owen-Smith (2017) によって経営工学で提唱されたものを Wu ら (2019) が科学計量学に持ち込んだもので、革新性を「ある論文がそれ以前の文脈と断絶する度合い」と考え、断絶性を引用によって測った指標。

論文と特許について分析し、「すべての分野にわたって平均破壊スコアが継続的に低下している」と報告した Park ら (2023) の論文は特に科学システムの内外に波紋を広げ、ここ数十年における(世界的な)科学システムの大幅な拡大にも関わらず、科学が勢いを失っているのかどうか、そしてなぜそのような問題を巡る世間の議論を引き起こすなど、DI に関する議論は社会的にも大きな関心を呼んだ。さらに多数の改良指標が提案されている。

一方で、時系列比較に意味がないなど複数の留意点があることが近年の分析 (Leibel & Bornamnn 2024) からわかっており、使用する際には対象とするデータの特性や分析の目的に照らし合わせて、DI を使用することが適切か注意が必要である。

なぜ Disruption Index を考えるのか

革新性を評価する多くの指標と同様に、DI は研究の重要度を測るために活用できる可能性を持った指標である。

政策への影響

研究は大きく漸進的 (Incremental) 研究と、革新的 (Disruptive) 研究があるとされており、漸進的研究に対しては計画が立てやすく、予算をつけ易い。一方で研究資金の配分を決定する際には革新的研究を適切に評価することで、新たな分野を開拓するような研究を捉えられれば研究競争力を大きく伸ばす可能性がある。

Disruption Index 関連での重要論文

What do we know about the disruption index in scientometrics? An overview of the literature

Large teams develop and small teams disrupt science and technology

Papers and patents are becoming less disruptive over time