ファッションScala小説
主人公:コザケ シンイチ
これは、孤高のプログラマコザケの一夜の物語。雰囲気でScalaを書き始めた彼を待ち受けるのは、まさに孤独との戦いであった。
今日もシンイチは行きつけの輸入ビールも飲めるカジュアルイタリアンSCALAに入る。
シンイチ「マスター、いつもの」
糖質制限中のシンイチはハイボールを注文する。
彼の、長い夜が始まった。
「おい、お前 sbt って知ってるか?」
このところ、この店でよく見かけていた男が突然話しかけてきた。
「ん、一体それは何だ?」
「おいおい、sbt も知らねぇとは話にならねぇぜ・・お前、そんな調子でこれから先大丈夫か?いっぱしの Scala プログラマなら、みんな sbt 使ってコンパイルしてるんだぜ。」
「オレはいくつものミッションクリティカルなエンタープライズシステムを Java で構築してきた。そいつらをプロダクション環境に送り出してきた Maven は戦友だよ。あの XML が実に手になじむ。だから Scala でも Maven でコンパイルしているし、それで何も問題がないね。」
「最初はみんなそう言うんだ。でも、この辺じゃみんな sbt 使ってる。きっとお前もそうなるよ。また会おう。」
そう言って男は立ち去っていった。男のシャツには達筆な毛筆で scalaz と書かれていた。
最後にバーボンを一杯煽ったオレは店を出た。もちろんバーボンの糖質は0だ。
家に着いて妻と子どもの寝顔を確認すると、一人リビングでMacBookを開く。店で出会ったあの男の去り際の言葉が忘れられなかった。
「sbt...」
検索結果を確認する。一番上の検索結果は英語だった。オレは何を考える事もなく、いつも通り日本語のページで一番上位に出ているリンクを開く。
「始めるsbt...強力なビルド定義 (build definition) を作ることができる...ほう」
開いたページはsbtの入門ドキュメントの和訳だった。そこの記述をみるとどうやらビルドに関連したツールらしい。そういえば、店で出会ったあのscalazシャツの男も、sbtを使ってScalaをコンパイルすると言っていた。
オレは、sbtのページのホームへのリンクを叩く。表示されたのは英語だった。 そこには、
The interactive build tool
Use Scala to define your tasks. Then run them in parallel from the shell.
と書かれていた。やはり、sbtはScalaのビルドツールのようだ。それだけ確認したオレは先ほどの和訳のページに戻った。