COVID-19 Insights
今までの報道からCOVID-19についての考察を纏めたものです。
門外漢の私が断片的な情報から愚考を重ねたものなので、内容には当然間違い・勘違い・思い違いが含まれます。
現代医学の知見からすると、的外れな内容もあるかもしれません。参考程度に読んでいただけたらと思います。
感染力、病原性
感染力は非常に強い。
空気感染は確認されていない。飛沫感染、接触感染と考える。密室、風通しの悪い場所は避けた方が良いらしい。眼の粘膜からも感染?(武漢の眼科医)
季節性インフルエンザより感染力強い。
おそらく武漢もダイヤモンドプリンセスも、インフルエンザと同等の感染予防策を施行したが、感染拡大を防げなかった。いかに厳重な感染予防策を施しても、結局感染拡大してしまうのではないか(集団免疫状態になってしまうのではないか)、という疑念さえ持っている。
SARSと異なるのは、軽症者・無症候性感染者がいること。そして、おそらく無症候性感染者からも感染連鎖が発生していること。そうでなければ、日本でのリンクの追えない感染の説明や、欧米での爆発的な感染の説明がつかない。
SARSほど高病原性ではないが、インフルエンザほど低病原性ではない。無症状の人も多い。そのため、水面下で感染が広がりやすい。感染者の正確な数字は誰にも分からない。
https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5
発症前(!)後が感染力のピーク?
感染者数の把握
PCRの感度特異度は現状(2020/03/30)誰にも分からない。
感度は半分程度という意見あり。むしろ胸部CTの方が良い(90%?)という意見もある。
見えない感染連鎖が多い。COVID-19では軽症者が多く、重症者は氷山の一角。同様に、把握できている感染者も氷山の一角だろう(無症候の人や、感染連鎖とは無縁の人には検査行わない)。
PCRの特異度は結構高そう。日本で検査やりまくっているが、陽性が全然出ないところがある。疑陽性は実質無視できるのだろう。
そのため、上(症状)からの感染者数の把握は不可能。下(死者・重傷者)からの感染者数の推測が現実的。
2020/03/30
世界的に指数関数的に感染者が増加している。正確な感染者数の補足は不可能(公表されている感染者数と、実際の感染者数はかけ離れている可能性が高い)。死者数からの推測か、定点観測に切り替えるべき。
死亡率
死亡率=死者数/感染者
感染者数の把握は困難だが、ダイヤモンドプリンセスからの推察だと、死亡率1%くらい?
死者数/PCR陽性→1%
死者数/母集団→0.1%
2020/03/10:診断者数 11万人、死亡者数 4000人。
2020/03/31:診断者数 700,000人、死亡者数 33,000人。
2020/04/3:診断者数 900,000人、死亡者数 45,000人。
2020/07/21:診断者数 1400万人、死亡者数 60万人。
ダイヤモンドプリンセス
乗員乗客 3,711人
感染 696人
無症状は約半分。
死者 7名
年齢分布(高齢者多い)を考慮すると、致命率はさらに下がると考える。半分くらいかもしれない。
2020/03/23
死者10名に修正。
10/3711 = 0.25%、
適当年齢補正をして0.1%
2020/04/11
死者12名に修正
年齢 | 有症状 | 無症状 | 合計 | 無症状割合 | 搭乗者数 |
---|---|---|---|---|---|
0-9 | 0 | 1 | 1 | 100 | 16 |
10-19 | 1 | 1 | 2 | 50 | 23 |
20-29 | 18 | 2 | 20 | 10 | 347 |
30-39 | 18 | 5 | 23 | 22 | 429 |
40-49 | 18 | 7 | 25 | 28 | 333 |
50-59 | 27 | 22 | 49 | 45 | 398 |
60-69 | 73 | 56 | 129 | 43 | 924 |
70-79 | 92 | 136 | 228 | 60 | 1015 |
80-89 | 27 | 25 | 52 | 48 | 215 |
90-99 | 2 | 0 | 2 | 0 | 11 |
合計 | 276 | 255 | 531 | 48 | 3711 |
なぜか報道では若年者は無症状が多いと言われるが(2020年3月)、ダイヤモンドプリンセスのデータでは無症状が多いのは50代以上で、80代以上だと少し下がる傾向である(20歳未満はNが少ないため分からない)。
これは、若年者の方が異状に敏感で症状が出やすいこと、80代以上だと重症化しやすいこと、の2点で説明がつく。
厚労省のデータだと、無症状と有症状の境目が分からない(問診で聞いても全く無症状なのか、軽い倦怠感程度(聞かなければ分からない程度)なのか、風邪症状だが病院には行かない程度なのか)が、症状が出るのはざっくり半分くらい、と言えるかもしれない。
世界がダイヤモンドプリンセスになったら:
1億人いたら、10万人。77億人いたら、770万人。
これを現実の数字とは思いたくないが、理論的に考えるとそうなる。
3000人は感染しなかったのか?
感染したが、症状・PCR共に出なかったのか。
非感染の3000人のその後を知りたい。もしかしたら、能動免疫を獲得済みだったか、無症状のうちに獲得したのかもしれない。下船後にCOVID-19に感染したかどうか、抗体を保有していたかどうかを知りたい。
確実に言えることは、死亡者数/PCR陽性者数=1%。一般的なpopulationだったら、この割合はさらに下がるだろう。0.5%と暫定的に考えておく。
日本がダイヤモンドプリンセスになったら
感染 19%
死者 0.2%
適当に年齢補正をして、0.1%
→1億人に対して死者 10万人
米空母
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/post-93125.php
米原子力空母セオドア・ルーズベルト
2020/04/14 時点でのデータ
乗員乗客 4,800人
感染(tested positive) 585人(PCR陽性?)
有症状 157人
無症状 60%?
入院 7人?
死者 1人
感染者 x PCR感度(50-60%) = 585
推定感染者 1,000人くらい
有症状率 15%くらい??
閉鎖環境 モデルケース
ダイヤモンドプリンセス・空母・今までのデータから、私が適当に算出した数字。数倍の誤差はあると思う。
母集団:1000人
PCR陽性:150人
有症状:80人
無症状:70人
有症状でCOVID-19と診断される人:80人
入院:12人
ICU:4人
死亡:1-2人
→母集団のうちPCR陰性の人は、感染予防策のため感染せずに済んだのか、集団免疫のために難を逃れたのか、それとも感染したがPCRで出なかったのか?
最近のメディア(2020/04)は感染者数ばかり追っているが、ほとんど意味がないことだ。未来を予測するためには、信頼性の高い過去のデータを慎重に分析する必要がある。
潜伏期間
1-14日。幅ありすぎ。平均は5日らしい。
温度
気温が上がるとで感染力低下?
熱帯地方でも患者は報告されているが、他の地域よりも少ない。単に見過ごされているだけか、感染力が低下するのか。熱帯地方の医療レベルが著しく劣るとは考えにくい。
気温が上がるとウイルスの脅威は下がる、と考えたい。スイス・スウェーデンと、結構北の国に多い印象。ロシアは知らん。
→やっぱり有意差はないみたい。
年齢分布
一般的な感染者(インフルエンザetc.)は、免疫力の弱い小児・高齢者に多い。
重症度も同じ傾向。そのため、インフルエンザワクチンの接種が推奨されている。
COVID-19は、なぜか小児が少ない。小児にとっては普通の風邪ということ?
治療
現状何もない。ワクチン待ち。
時間稼いでいる。
アビカン・フサンは割と有望らしいが・・・
対症療法しかないが、重症者は入院治療が必要。酸素投与、補液、人工呼吸器くらい。患者数が爆発的に増えた場合、いかに効率よく対症療法を行うかが大切になる。
100人いたら・・・
80人は軽症。
15人は入院。
5人は集中治療。
2人は死亡。
2020/07/21:
免疫系の過剰応答が悪化の一因らしい。デカドロン6mg 10日間投与が死亡率を下げるかもしれないんだと(RECOVERY試験 28日死亡率を低下させる、重症例のみ)。他の有望な薬は結果を出せず、避けるべきと考えられていたステロイドが結果を出すとは、臨床は一筋縄ではいかないものだ。
第2波
スペイン風邪は第2波、第3波があり、第2波で多数の死者が出た。COVID-19で2波3波が来るかどうか、こればかりは分からない。ただ、最悪の事態に対する備えは必要だろう。
パンデミック
もう避けられない。覚悟を決める必要がある。
時間稼ぎをして、ワクチンを待つ。医療システムを維持する。死者数を最小限にする。そして、今の社会システムへの影響を最小限にする。
1億人が感染したら、50万人死ぬ可能性がある。
無症候感染を期待しても、10万人死ぬ可能性が高い。
覚悟を決める必要がある。
学校の臨時休校について
今までのデータからは、休校の意味はない。小児の重症化のリスクは低いし(0ではない)、小児から成人に感染するという事例は少ない。データから考えると、学校の一斉休校はCOVID-19の感染対策として有効ではないと考える。
ただ、一般的な風邪・インフルエンザでは小児は大きな感染源となる。小児同士で感染連鎖するし、子供から大人に感染することも多い。理屈から考えると、COVID-19でも同様に感染連鎖が起きる可能性も否定できない。
臨時休校はRを減らす効果があるのかどうか。
- 今までのデータより、COVID-19で小児が重症化するリスクは少ない。
- 同様に小児を経由して感染連鎖が起こる報告も少ない。
- 子供の免疫系がCOVID-19に対して適切に働き、早期にウイルスを制圧するためだろう。
- 一般的なウイルス感染では小児を経由する感染は多い。
- おそらく、成人の方が重症化するリスクが大きく感染連鎖が起きやすいため、相対的に小児の感染連鎖が少なく見えるのだろう。
上記理由から、「Rに対する臨時休校の効果は0ではないが、かなり少ない」というのが現時点(2020/04/13)での私の考えだ。
そもそも、どうして小児の感染が少ないのか。実際に感染が少ないのか、それとも極軽症で済むため感染が少ないように見える(PCR neg.)のか・・・分からない。
移動規制は効果があるのか
国外の移動規制
国内の移動規制
不要不急(?)の外出
R0(基本再生産数)を減らす
クラスターを抑える。
経済活動へのダメージを最小限にする。
感染のピークを減少させる(時間稼ぎをする)
感染しないようにする(集団免疫の獲得を回避する)→おそらく不可能
つまり、R0を減らす↔経済活動を維持する
という対立軸があるだけのこと。
0:社会活動が出来なくなる→経済崩壊
今まで通り:感染コントロールが出来なくなる(R0が増加する)→医療崩壊
→どこかで最適解を見つける必要がある。
Rを減らす
- 接触する人数を減らす
- 人の密度を減らす
- 換気をする、密閉空間を避ける
- 近距離での会話を避ける
→都市封鎖は有効なのか? あまりにもコストパフォーマンスが悪すぎないか?
2020/04/14:
COVID-19の感染力を考えると、都市封鎖はほとんど役に立たないと考えていた。Rを、例えば3から2.5に下げる効果はあったとしても、感染連鎖という意味では効果は限定的だ。爆発的な増加から、やや爆発的な増加になるだけの効果に過ぎないと考えていた。
しかし、最近のデータ(欧州のピークアウト)を見ると、感染の拡大はかなり防げている様だ。
つまり、複合的な処置(手洗い、マスク、接触抑制、自主隔離、ロックダウンetc)により、Rを1以下まで減らすことが出来ていると考える。
Silent Deaths
COVID-19による死者は分かりやすい。
- ある人がCOVID-19に感染する。
- 倦怠感・発熱の症状が出て、病院を受診する。
- 風邪と言われて帰る。
- 呼吸困難となり、救急搬送される。
- 肺炎と診断され、PCRで陽性。感染症指定医療機関に搬送される。
- 酸素化保てなくなり、気管挿管・人工呼吸器管理となる。
- 状態改善せず、死亡確認。
- COVID-19 Situation reportsに+1される。
一方、COVID-19対策(外出自粛、消費抑制、経済へのダメージ)による死者は分かりにくい。
- 職を失い生活に困窮、自殺。
- 会社が倒産して負債が残り生活に困窮、自殺。
- うつ病が悪化して自殺。
- 病院を避けることで受診が遅れ、病気が回復不可能な状態になる。
- 経済的余裕がなくなり、病院受診しなくなり持病が悪化。
- 外出しないことによる筋力低下、ADL低下、認知症悪化。
- **不足で生活習慣病が悪化。
いずれもCOVID-19対策のデメリットから予想される死者・余命の短縮だが、これらは統計に載ることはない。
定量的は評価は難しいが、首都封鎖や緊急事態宣言による経済へのダメージとそれによる死者の増加は、COVID-19による直接の死者(2020/04/06 73人)よりも遙かに多いのではないかと考えている。
面白いところ
インフルエンザは小児が感染源となる。 小児がクラスター→大人に感染 インフルエンザと違って、小児の感染者は少ない。重傷者も少ない。 不思議。
当初は、**・韓国・日本がトップ3だった。 ある程度押さえ込んで、今度はヨーロッパが増えてきた。なぜ?BCG?
福音
理由は分からないが、日本の感染は少ない。 少なくとも爆発的に増加はしていない。なぜ?
- 国民の過剰な反応
- マスク手洗い、公衆衛生の徹底。
- 元々きれい好き(ウォッシュレット発祥の地)
- 公共施設の早期閉鎖(図書館、学校):休校は理論的には無関係だと思うが・・・(学校が隠れた感染源、とは考えられないか?)
- 集団免疫:ダイヤモンドプリンセスのデータから、他の国と大差ないだろう。 →予防策の徹底で、かなり感染のスピードを遅らせられる可能性がある。
ワクチン:免疫が唯一の武器である。
ウイルスには勝てない。人間の営み、生物の営みの一部と考えるべき。
日本は元々病床数が多い。
山ほど入院患者が増えても、おそらく上手くトリアージ出来るだろう。
一時爆発的に増えた、**・イランで増加が鈍っている。どうして? → 十分把握されていない?
小児はほとんど感染しない。spareされている。小児にとっては新型コロナも旧型コロナも同じだから?
タイムラグ
潜伏期間→発症して診断までの時間は10日ほどあると考える。
最善の対策を行ったとして、効果が目に見えるまでは10日間はかかる。
増加率
doubles/3daysが一般的な国の増加率。なぜか日本はdoubles/1week。原因は不明だが、悪いことではなさそうだ。
x2/3days = x1024/1month
Double invisible enemy
我々の敵は見えない。
一つは、目には見えないウイルスであること。
もう一つは、コントロール不能の無症候性感染者・軽症者がいること。
暴露量
ウイルス暴露量と予後は相関ある?
空気感染しないB型肝炎ウイルスでも、暴露量が多いと空気感染するらしい。
感染というと、0か1か、感染するかしないかというイメージがあるが、実際にはその中間があるかもしれない。ウイルス暴露量が少ないと感染しても無症候性だったり、多いと重症化したり、という可能性はないだろうか?弱毒化ワクチンと同じように。
3密
いわゆる、密閉・密集・密接。
どれもウイルス暴露量を下げる効果がある。
感染を予防するのか?それとも見えない感染の連鎖の割合を増やしているのか?
見えない感染の連鎖は福音である。
暴露量の少ない感染の連鎖、もしくは病原性の低いウイルスの感染の連鎖が考えられる。
本当に存在するか?見えない連鎖を見る方法はあるのか?
仮説
PCRがなかったら
猛烈に風邪が流行った年、だけかもしれない。むしろ人災。PCR検査が恐怖心まで増幅させた。
子供
生後半年以降は、すべてのウイルスに対して脆弱(自然免疫のみ)である。冬場の幼児は常に風邪を引いている。次々と未知のウイルスの曝露されているが、それでも幼児はバタバタ死ぬことはない。
もちろん、各種ワクチンの効能はあるが、ワクチンがなかった時代も幼児がバタバタ死ぬことはなかった。
子供にとっては、COVID-19も普通の風邪と同じかもしれない。子供や免疫状態が良好の人は、COVID-19を迅速に制圧するので、症状があまり出ない、PCR検査しても陰性になる、のかもしれない。
普通の風邪
感染性は普通のコロナウイルスと同じ。
重症化することがあるのが、既知のウイルスと異なる。
子供にとってはレギュラー、高齢者にとってはイレギュラーなことが起きているのかもしれない。
COVID-19の感染力と感染率の齟齬
非常に感染力が強い。日本の初期の症例は、武漢から来た観光客とバス運転手の感染だった。密室ではあるが、通常はバス運転手と乗客は濃厚接触しない。軽い接触にもかかわらず、感染が成立している。
バス運転手と乗客程度の接触なら、他にも多数の感染例が確認されてもおかしくないと思うが、実際には他の感染者は報告されていない。たまたま感染しなかったのか、感染したが見逃されたのか、不顕性感染だったのか。
感染力の強さからは、もっと爆発的に患者が増加してもおかしくないと考える。それこそ欧米のようにdouble/3daysでもおかしくない。それなのに、ある程度感染がコントロールできている(ように見える)のは何故か?
低レベル曝露による感染連鎖 infection chain of low-dose exposure, ICLDE
COVID-19に多量に曝露すれば、感染後のウイルス量が多く、重篤な状態になりやすいと考える。若く健康な武漢の医師が、次々と亡くなったことからの推測だ。
これを逆にすると、少量曝露ならば感染後のウイルス量が少なく、軽症もしくは無症候性の感染になりやすい、と考えることも出来るのではないか?そして、ウイルス量の少ない感染連鎖が続けば、重篤な患者を出さずに感染が拡大し、集団免疫を獲得できるのではないか?
→やっぱりそういうことはないか。
退却戦
武漢での封じ込めは出来なかった。
ダイヤモンドプリンセスでの封じ込めは出来なかった。
一国内での封じ込めは出来なかった。
我々は幾度となくウイルスの封じ込めに失敗している。
今までの病原体とは異なり(同様に?)、根本的に対処が異なる、封じ込めは不可能だと考えるべき。
つまり、いずれは人類の過半数が感染して、集団免疫状態になるのは避けられない。
その意味で、イギリスが最初にとった集団免疫の獲得戦略は非常に正しい(というか、どう足掻こうが結局その状態になる)。
ウイルスの感染から逃れる、COVID-19を永久に封じ込めるということを勝利とすると、我々の敗北はすでに決まっている。今の技術ではウイルスとの戦いに勝つことは出来ない。
負けが決まっている戦争で次に考えるべきことは、いかに損失を少なくして終戦を迎えるか、退却戦を展開するかということである。つまり、経済へのダメージを少なくしつつ、いかに死者数を抑えるか。ダメージコントロールが重要になる。
「Rを抑えつつ、平常な社会活動を営む。COVID-19はいずれ人間社会に遍く存在するようになるが、その状態に至るまでの死者数を最小化する。」
これが我々のゴールである。
シナリオ
日本全体がダイヤモンドプリンセスになる。
集団免疫を獲得するのが約半分の6000万人。死亡率が1%とすると60万人。
Rをどうにかして0.1%(死者/母集団)とすると12万人。
適当な計算で恐縮だが、日本がダイヤモンドプリンセスになると仮定すると、推定の死者数は12-60万人となる。
徹底的なロックダウン・接触制限でRを下げることは可能だが、その状態で社会を維持することは不可能だ。いずれ制限緩和→R上昇→感染増となることは目に見えている。これは、
- 感染連鎖は集団免疫の獲得まで終わらないこと(ワクチンの開発は間に合わないだろう)
- Rを低値維持しても、累計死者数はそれほど変わらないこと(病院のキャパオーバーは防げるが)
- 社会停滞による死者増加が、上記の推定数を軽く超えると予想していること
からの推測だ。
イタリア
2020年4月14日
死者2万人
ダイヤモンドプリンセスになると仮定すると、死者6万人(もちろん誤差は数倍あると思う)。
すでに1/3まで来ている。
新規患者が劇的に減るとは思えないので、しばらくこの傾向が続くだろう。
集団免疫の獲得は時間の問題(2-3ヶ月)と考える。
医療崩壊について
”医療崩壊”と聞くと、病院が砂の城のように崩れ去ってしまう、医療システムが働かなくなり医療を全く受けられなくなってしまう、という状況が想起される。しかし、実際にはそのような意味の”医療崩壊”は起こらないだろう。
仮に患者が今の100倍に増えたところで、病院は適切な医療を提供することは可能と考える。
- 軽症者をホテル等に隔離する(病院では診療しない)。
- 軽症者を自宅待機にする(病院では診療しない)。
- 重症者を感染症指定医療機関以外の一般病院で治療する。
- ICU入室基準を80歳以下とする。
- ICU入室基準を70歳以下とする・・・
等の段階的トリアージで、医療を維持していくことは可能である。
悪者はいない
人間はか弱い生き物だから、すぐに悪者を作りたがる。
- コロナウイルスが悪い(ウイルスは人間に害悪を与えようとしている訳ではない)
- **の初期対応が悪い(SARSの経験を活かして適切に対応している。ただ、その後の感染者のplateauは疑問だが・・・)
- WHOが悪い(同上)
- ダイヤモンドプリンセスへの対応が悪い(厚労省は適切に対応したが、感染力が想定を上回った)
- 自粛ムードなのに出歩く人が悪い(人間は社会的な生き物だから、人と交わらずには生活できない)
- 日本はPCR検査しないから悪い(今のPCR検査は偽陰性が多く、メリットは乏しい)
- PCR検査せずに、感染者数を故意に低く見せている(初期の検査陽性率は低い=十分検査している)。
- 保健所が悪い(限られたリソースで、未知の病気に対して対処している)
- 安倍首相が悪い(完璧ではないが最善を尽くしている。今の日本は欧米と比較して遙かに良い状況である)
- 昭恵夫人が悪い(罪のない者だけが石を投げるべきだ)
- 営業しているパチンコ店が悪い(クラスターは確認されていない。システム1でなくシステム2で対処するべきだ)
誰かを悪者にして心の平穏を保ちたい、という気持ちは分かるが、残念ながらCOVID-19問題において悪者はいない。我々はそのような人間の弱さを傍らに置いて、COVID-19問題に対峙するべきだ。
ウイルスが生物なしには存在できないのと同様、ウイルスなしで生物は存在できない(仮にウイルスのない社会が存在したら、それは外的要因に対して極めて脆弱になる)。COVID-19問題は、ウイルスと生物の共存・共栄関係のデメリットの一つであり、おそらくはメリットの一つである。
感染症と文明
COOVID-19が人間社会に甚大な影響を与えている。
矛盾するようだが、COVID-19流行は我々の文明の有り様を反映したものである。
我々の社会がウイルスの流行を規定するのであって、ウイルスの流行が我々の社会を規定するのではない。
家畜のように「死なないだけ」の生活ではなく、人間らしく生きることを目指すべきだ。
分類
PCR
PCR検査で陽性だった人
PCR検査で陰性だった人
重症度・感染
- ウイルスに感染し死亡した人
- ウイルスに感染し重症化した人
- ウイルスに感染し軽症で済んだ人
- ウイルスに感染したが無症状だった人
- ウイルスに曝露されたが、感染しなかった人
- ウイルスに曝露されなかった人
我々の目は限られている。はっきり言えるのは、PCR検査で陽性だったか陰性だったかだけだ。
PCR陽性でも疑陽性のこともあるし(数%?)、PCR陰性でも疑陰性(半分くらい?検体採取の手技的問題、採取部位の問題、経時変化の問題、ウイルス量の問題、PCR手技の問題)のこともある。「陽性ならおそらくCOVID-19感染でしょう」「陰性ならCOVID-19に感染している確率は、高々50%以下でしょう」ということしか言えない。我々は、まるで見えない眼鏡を通してCOVID-19と対峙しなくてはならない。
上記理由に加え、現在(2020/04/13)COVID-19の事前確率は非常に低いため、PCR陰性をCOVID-19陰性と言うことはできない。つまり、上記重症度の1-4 感染した人 と 5-6 感染していない人 の推定を出すことは困難だ。
現時点で正確に把握できるのは、1. ウイルスに感染し死亡した人 だけだ。
もちろん、単に細菌性肺炎として処理されてしまう可能性もあるが、
- 胸部CTで比較的特徴的な所見がある
- 重症肺炎・若年者の肺炎では、まずCOVID-19除外が重視される
上記理由から、COVID-19に感染し死亡した人の数はかなり正確に把握されていると考える。
逆に言うと、COVID-19の感染者数はまるで当てにならない。4. ウイルスに感染したが無症状だった人 はまるで把握できないし、3. ウイルスに感染し軽症で済んだ人 もかなりの割合でこぼれてしまっている(風邪だと思って家で寝て治った、PCR陰性だったetc)。
WHOや報道機関は、まるで信頼できない感染者数の集計(confirmed casesという逃げ口上だが)を止めて、COVID-19死者数だけ公表するべきだ。
COVID-19をみる目
PCR
PCRは感度が半分程度(2020/04/13の適当な推測)と、まるで当てにならないが、それでも直接ウイルス感染を確認できる唯一の手段である。
死者数
取りこぼしが少なく、最も信頼できる数字である。
ただ、現在の死者数は過去の感染状況であるという点に留意にする必要がある。発症までは数日かかるし、重症化してから入院、ICUで数週間治療した、ということもあり得る。ざっくり推定して、2-4週のタイムラグがあるのではないかと思う。
抗体検査
感染拡大の防止に役立つデータではないが、過去のCOVID-19の感染状況を確認できる。感度・特異度は全く分からない。
おそらく日本では、正確なデータの取得のためにはかなりNを大きくする必要があるだろう。費用はかかるが、少なくともマスク配布に数百億円投じるよりは有用と考える。
感染者数は無視する
- COVID-19は軽症の割合が多く、多くの症例は医療機関を受診しない。
- 全く無症状の人もいる(半数? 2020/08/12 推測)。
- 病院受診しても、事前確率が高くなければ検査をしない。
- 検査をしても感度は低い。
上記理由で感染者数はまるで当てにならない。というか、報道されている感染者数=PCR陽性が確認された人数であり、実態の感染者数をミスリードしている。
さらに、PCR検査を行う閾値は各国の医療体制・医療資源・対応した医者によってもまるで異なるため、国別の比較は無意味である。
よって、感染者数という数字は無視するべきだ。考えない。
COVID-19プロトコル試案
「文句ばかり垂れて良いことは言わない」とよく言われるので、少しは建設的なことも書いてみる。
発熱・倦怠感・上気道症状など、COVID-19感染が否定できない症状が出た→有無を言わせず、1週間自宅安静。休業補償を。
自宅安静中、複数回のPCR検査施行。陰性→1週間経過かつ症状改善で自宅安静を解除。陽性→2週間に延長。
陽性で2週間経過、症状改善→自宅安静を解除。
呼吸困難等、症状悪化→速やかに病院入院。
陰性で1週間経過したが症状改善せず→病院受診。
現状(2020/04/15)、医療機関の対応はバラバラ。対応する医師によっても異なる。厚労省は暫定的なガイドラインを出すべき。間違いがあっても、適時アップデートして対応する(逆に言うと誰も正解は分からない)。
特異な日本の状況
初期の感染拡大を防げた?
2020/04/13現在、日に日に感染者が増加している。1日の新規患者数が最高を記録したと、連日報道されているが、これは指数関数的に増える感染症としては何ら矛盾ない。不思議なのは、どうして2月中まで感染がコントロールされていた(ように見える?)のかという点だ。
PCR検査を故意に行わなかった等の陰謀論は論外。
3月から4月上旬の死者数はほぼ横ばいであることから、2月の感染者の実数とそれほど乖離していないと考える。
3月末~4月にかけての急増
(上と矛盾するが)指数関数的に増える感染症の特徴なのか、それとも適切に感染者を把握できるようになったからなのか・・・?
死者数が圧倒的に少ない
COVID-19死者数は最も信頼できる数字と書いたが、日本は諸外国と比べて圧倒的に少ない。
日本の環境(地政学的な状況、訪日観光客、人口密度)から考えると、イタリア・スペインと同じ状況、良くてドイツくらいの状況になってもおかしくない。
もちろんこれから死者数が急増する可能性はあるが、諸外国と比べて数十~100倍の差がある。これは全く理解できない。
やはりBCGの影響?ただ、これではオーストラリアの説明がつかない。
ここ数日(2020/04/14)のデータを見ると、世界的に感染者数がピークアウトしている。集団免疫状態とは考えられない。おそらく社会封鎖の効果が出て、Rが抑えられている(1以下?)のだろう。
日本の場合は、初動(1月2月の対応)が良かったため、今の状況になっているのかもしれない。今の感染者が1万人いれば、Rを1に抑えても次の感染者は1万人。100人ならたった100人だ。
2020/04/14 まとめ
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COVID-19の感染力は非常に強い。
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ウイルスの封じ込め、正確には「集団免疫の獲得を回避すること」は不可能。
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PCR検査の感度は低く、効果は限定的。
-
PCR検査の信頼性とCOVID-19の不顕性感染を考慮すると、”COVID-19の感染者数”という指標は実態とかけ離れており、参考にするべきではない。”COVID-19の死者数”が現状手にできる最も信頼できる数値であり、COVID-19感染の指標とするべきだ。
-
同様の理由から、「PCR検査を絞り込んだ患者のみ行う」という日本の方針は非常に正しい。
-
複合的な対策により、Rをかなり(1以下?)下げることは可能なようだ。
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原因は不明だが、日本は極めて良くCOVID-19に対処している。地政学的状況・人口密度を考えると奇跡と言ってもいい。日本人の衛生習慣が理由なのか、言われたことを守る国民性なのか、ワクチン接種(BCG)なのか、それとも全く別の要因なのか?今後も検討が必要だ。
ゴール
昨年末から4ヶ月間のコロナ狂騒を経て、私が出したCOVID-19問題のゴールは、
「Rを抑えつつ、平常な社会活動を営む。COVID-19はいずれ人間社会に遍く存在するようになるが、その状態に至るまでの死者数を最小化する。」
ということだ。
COVID-19の封じ込めは出来ない。
メディアでは未だに不要不急の外出自粛と言っているが、それは問題解決には繋がらず、経済的なダメージを増加させるだけだ。
COVID-19の封じ込めは出来ない。不可能なことは不可能であると理解して、速やかに次の目標(ダメージコントロール)に取り組む必要がある。
「諦めること。COVID-19と人間との"心地よいとはいえない共生関係"を受容すること。そしておそらく日本でも数万~数十万人となるCOVID-19感染による死者数を受容すること。」
これが2つめのゴールである。
Rを抑える
= 人と人の接触を減らす。
手段
- 3密を避ける
目的
- COVID-19重症者の治療を医療資源の制約内に抑える。
- 時間を稼ぎ、手持ちの治療薬(アビガンetc)による治療法を確立する。
- 時間を稼ぎ、ワクチン完成を待つ(ワクチンの開発期間、製造期間を考えると現実的ではないが)。
- COVID-19の弱毒化(強毒化の可能性もあるが・・・)を期待する。
PCR検査について
有用ではあるが、現時点での信頼性は低い。50%、良くて70%の天気予報であり、限られたシチュエーションでのみ活用するべきである。
理由を列挙すると、
- 感度が低く、陰性でも「COVID-19に感染していない」とは言えない。
- 特異度は不明で、陽性の場合「おそらくCOVID-19感染でしょう」としか言えない。
- 偽陰性の場合、COVID-19非感染と考えて自主隔離をしない人が出てくる。
- そもそも、COVID-19不顕性感染者は医療機関にかすりもしない。野放図となっている。
- COVID-19に特異的な治療はなく、治療方針に影響しない。PCR陰性でも医師がCOVID-19を強く疑えば、アビガン・フサンを使用するだろう。
- PCR検査に医療リソース、政治的リソースが浪費される。低コストでRtを抑制する施策の考案・周知に注力するべきだ。
誤った情報は時として有害になる。
医師が使用する強力な薬は、一般人は簡単に手にすることは出来ないのと同様、PCR検査についても専門家の手に任せるべきだ(もちろん情報はオープンにした上でだが)。
COVID-19封じ込めについて
"退却戦"の項目でも書いたが、COVID-19封じ込め(集団免疫の獲得を回避すること)は出来ない。
日本では未だに(2020/05/01)、感染者数を減らして、いずれは0になるような風潮があるが、それは実現不可能だ。
- 今まで幾度となく封じ込め(武漢、クルーズ船、国内)に失敗していること。
- 非常に感染力が強いこと。
- 不顕性感染者や、発症前感染者からの感染が疑われること。
- 軽症者が多く、SARS/MERSのような対策が取れないこと。
- 現時点(2020/05/01)で300万人以上の感染が確認され、おそらく把握されていない感染者は数千万人に上ること。
- すでに全世界に感染が広がっており、仮に一国内で封じ込めたとしても、いずれ流入は防げないこと。
- 他の動物からの感染が確認されていること。
風邪症状を引き起こすコロナウイルスは数種類あるが、人間はそれらのコロナウイルスを駆逐出来ただろうか?いかに対策をしても、現在の技術ではこれらのウイルスを封じ込めることは出来ない。風邪を封じ込めることが出来ないのと同様、COVID-19を封じ込めることは出来ない。
我々が根絶に成功したウイルスは、現時点では天然痘ウイルスだけだ。もちろん今後も研究を重ね、ウイルスによる被害が無くなるよう不断の努力を続けるべきである。しかし、それは数ヶ月や数年のスパンではない。現時点でCOVID-19の封じ込めは不可能であり、その事実をきちんと受容して、次の目標に取りかかるべきだ。
空気の支配
すっかり忘れていた。
この国の行く末を決めるのは、冷静な判断力や、客観的事実や、理性ではない。システム1とか、システム2ではない。メディアでもない。国会議員や、総理大臣でもない。国民ですらない。
この国を支配しているのは空気である、ということをすっかり忘れていた。
2020年4月頃から、この空気は徐々に非論理的・非寛容になっている。この"悪い空気"を少しでも変える一助をしたいが、個人の力では難しい。国民全体の力でも無理かもしれない。結局、この空気に適応して上手く立ち回るしかないのだろう。
日本の迷走について
「空気の支配」と「安心感を得たい」ことで説明できる。
2020年1-2月の対応はまともだった。
3月の臨時休校要請からおかしくなり始めた。
- これだけ自粛しているから、大丈夫だろう。
- PCR検査を欧米並みにすれば大丈夫だろう。
いずれも、
「安心感」では、COVID-19の感染者・死者を減らすことには出来ない。
知識・理性を駆使して最善の方策を考え、「空気の支配」に抗う。「安心感」ではなく、
専門家の矜持
スウェーデンとサンマリノ
3月中旬からずっと注視している。
サンマリノ
人口約3万人。
2020/06/02時点での感染確認者は687人、死者は42人。感染者数は信頼できないので死者数からの推定になるが、おそらく集団免疫状態に至っているのではないか。つまり感染しきったのではないか。
クルーズ船etcからのざっくりとした推測だと、母集団に対して死亡率が0.1%。人口3万人だったら30人。
サンマリノが1000人に1人の苦難を乗り越えたとすると、今後の感染者・死者はかなり減少するはずだ。
数字の難しさ
2020/06/02時点でのサンマリノの死亡率(死亡者数/人口)は約0.13%。誰も注目していないが、他の国と比較してかなり高い数字である。
日本が同様の死亡率だったら、すでに15万人死んでいる。
人口3万人の小国なら話題にならない数字が、1億3千万人の国ならパニックを引き起こす数字になってしまう。
スウェーデン
例外的に緩い対策をとっている。
「都市封鎖はしない。発熱等の症状があれば自宅療養。社会的距離は保つ。クラスター発生のリスクが高い行為(集会等)は禁止。それ以外は正常な社会活動を続ける。集団免疫状態を目指す。」
スウェーデンの対策が最も合理的で正しい。
ただ、それを非合理的な人間が受け入れることが出来るかどうかが問題だ。
スウェーデンの人口は約1,000万人。2020/06/02で確認者数37,542 死亡者数 4,395。1000分の1と考えれば、収束まで死亡者数は現在の2-3倍になると考える。スウェーデンにとって、今後3-6ヶ月が正念場だろう。
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月4日)PCR等検査の対応に関する評価
PCR検査について正確な分析をしているが、結論が理解できない。
他国と比較してPCR検査数(総数、人口あたり)は少ないが、COVID-19感染者数も少ない。検査陽性率は国際比較でトップクラスに低く、十分検査はしている。経時的な変化としても、3月末から少し上がったが、4月後半は下がってきている。
で、結論がPCR検査の拡充。全然理解できない。
(文言はいかにも官僚的・医者的で、”医師が必要と考える軽症者を含む疑い患者に対して迅速かつ確実に検査を実施できる体制に移行すべき”だが)
Rt低下の憂鬱
ここ2ヶ月(2020年4-5月)、かなり低い数字で推移している。ざっくり0.5~1.0程度だろうか。劇的な減少と言って良い。ここまで下がるとは思わなかった。
この傾向が続き、いずれは新規感染者数がゼロになるのではないかという期待さえ抱いてしまう。当然、前述のように感染者がゼロになることはない。COVID-19を封じ込めることは出来ない。集団免疫状態は不可避である。
人々の生活様式だろうか。
他の要因(気候?)はどうか?
→北欧・南米・南半球の国々の推移を見ても(2020/07/06)、気候の影響はメジャーなものではなさそうだ。
そうすると、人間の行動変化が原因か?
社会活動を制限するとRtは下がり、緩和すると元通り。で、感染はゼロになることはない。累積死者数の劇的な減少にも繋がらない。さらに舵取りが難しくなりそうだ。
日本の**主義
ここ3ヶ月を振り返ると、日本政府はリーダーシップという言葉から最も遠い位置にある。
日本の頭脳を集め、最適な政策を考案し、国民の理解を得て、実行する。
- 国民がマスクを買いに走った。
政府が国民をリードするのではなく、国民が政府をリードしている。
- 国民がマスクを買い占めに走った(トイレットペーパーの買い占め等の非合理的な行動もあったが)。
- カウンターに仕切りを付け始めた。
- トイレのジェットタオルを止めた。
いずれもエビデンスのある措置ではないが、感染対策としては理にかなっている。応急処置
政府が提唱したのは「3密を避けること」と「意味のない学校の休校要請」だけだ。
これは非常に有意義だったが、これ以降意味のある政策は何も行っていない。民間が率先して行動している。
政府の行動は常に後追い。「最も国民から反対されない行動」を取っているに過ぎない。
ロックダウンは1度きり
新しい生活様式を目指すべきでない
気候とRtの関係
おそらくコロナウイルスの感染性には気候(気温、湿度、室内の気密性)が大きく関係している(以前の考えと少し違うが・・・)。
- 2020年2月-3月、人口密度の割には北海道の感染者が多かった。低温・低湿度・高気密な建物が影響しているのではないか。
- 4月~8月にかけて、北半球の国々の感染者数は比較的落ち着いている。ロックダウンの効果もあるだろうが、感染対策が緩いと考えられているスウェーデンでも減少傾向が認められており、気候の影響も大きいと考える。
- 南半球の国々、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチンでは、感染の歯止めがかかっていない。これらの国の感染対策が特段劣っているとは考えにくい。
これらの理由から、気候とCOVID-19の感染性は大きく関係していると考える。現在(2020/08/01)は、気候の助けもあってRtを低く維持できている。これから冬になると、Rtは上昇する。おそらく、コントロール不能な数字まで上昇するだろう。
コロナ禍は人災
現在(2020/08/03)までの経過を振り返ると、コロナ禍は人災だと考えざるを得ない。
それは、2019年末に**当局が対応を誤ったからではない。ウイルスの性質上、封じ込めは困難だった。おそらくどんな対策を行っても、パンデミックは不可避だっただろう。
人災というのは、「ウイルスに対峙する適切な技術・理論があったにもかかわらず、合理的な思考・対応が出来なかったため、被害が不必要に拡大してしまった」ということだ。
経緯
前に書いたように、感染者数に対して右往左往する意味はないし必要もない。だが、世界の感染状況を適切に把握することは重要である。現時点(2020/08/12)でのCOVID-19感染拡大の経緯を、自分なりに妥当と考えられる理由と共に纏めてみた。
- 2019年11月 **武漢で発生。症状が出にくい(診断が困難)、感染力が強いという特性により、水面下でかなり広まったと考える。
- 12月に新型ウイルスであると確認。
- 2020年1月、**国内で感染拡大。他の地域では確認されていなかったが、上記特性からretrospectiveに考えると、すでに世界中に広がっていたと考える。
- 2月、ダイヤモンドプリンセス船内で集団感染。
- 2月13日、国内で感染者を初めて確認。
2つの病気
COVID-19は社会に甚大な影響を与えているが、2つの病気として考えると理解しやすい。
高齢者にとってのCOVID-19
致命率は70代で約5%、80代以上では10%以上と考えられている(無症候性を考えるともっと低いと思うが)。もちろん、通常の感冒と比べると桁違いに高い数字である。
高齢者にとっては極めて致命率の高い病気であり、何が何でも、あらゆるコストを払っても感染を避ける必要がある。
だから情報収集のために一日中テレビを見ているし、感染予防策となるあらゆる物を買い漁っている。外出は最小限。社会活動の制限も厭わない。
高齢者の多くは定年を迎えており、経済が停滞してもすぐに困ることはない。仕事を失って今日食べるものにも困る、という高齢者は少ない。
高齢者にとっては社会活動の停止によるデメリットが少なく、感染拡大防止に繋がる行動にはメリットが多い。
その結果あらゆる社会活動を犠牲にしても、感染を回避する。自分の命を最優先させる。これは非常に合理的な行動である。
若年者にとってのCOVID-19
一方、高齢者以外にとってはCOVID-19の致命率はそれほど高くない。40代で0.1%、それより若い世代ではもっと低いと考えられる(無症候性を考えると、致命率はさらに低いのではないか)。もちろん、通常の感冒と比べると高いが、絶望的に高い数字ではない。
20代30代の死亡率は、自殺が10万人あたり約20人、事故が約10人。COVID-19が致命率0.1%とすると(繰り返すが、おそらく実際はそれよりはるかに低い)、10万人あたり100人。
もちろん低い数字ではないが、世の中に数多あるリスクと比較しても、突出して高い数字ではない。
一方、社会活動の停止による影響は甚大だ。
休校によって学業がままならない、会社の新規採用が減る、店をたたんで職を失う。経済の停滞によるデメリットは非常に大きい。
感染予防によるメリットは高齢者ほど多くない。COVID-19が「ただの風邪」とは言えないが、ほとんどの人は軽症で済み、致命的になるケースは非常に少ない。
年齢が若くなればなるほど顕著で、小児の死亡例はほとんどない。生後半年以降の乳児にとっては、新型コロナも旧型コロナも皆同じである。
若年者にとっては「重症化することもある風邪」であり、高齢者にとっての「何が何でも回避するリスク」ではない。当然感染予防は重要だが、それによるデメリット(社会活動の停止)も勘案する必要がある。
つまり若年者にとっては、コストパフォーマンスの良い感染対策を行う、ということが合理的だ。
このように、COVID-19は年齢層によってまるで異なる二つの側面を持つ。問題は、日本では高齢者の支配が圧倒的ということだ。