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Mission: To provide a high-quality open content data structures textbook that is both mathematically rigorous and provides complete implementations.

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Open Data Structures 日本語訳プロジェクト

Open Data Structuresというプロジェクトをご存知だろうか。 これはPat Morin氏が立ち上げたプロジェクトで、 大学のコンピュータサイエンス系の学部ならほぼ皆が最初に学ぶデータ構造に関する教科書をフリーで公開するものである。

PDFファイルはプロジェクトのウェブサイトhttps://sites.google.com/view/open-data-structures-ja/homeにて随時更新しながら配布している。(なお、現在翻訳は一通り終わっているものの、査読・校正・校閲の途中である。)

なぜ翻訳をするのか

まず、本を英語から日本語に翻訳する意味はあるのだろうか?

個人的には英語よりも日本語を読む方がかなり早い。 しかし、専門書を読むときはついつい翻訳は避けてしまう。 品質のばらつきが大きく、読みにくいものも多いと感じるのが自分の場合は主な原因だ。

しかし、この教科書は入門書である。 前提知識は中学高校レベルの数学をほんの少しだけである。 (簡単なプログラミング経験があった方が、実感が持てて、有り難みがわかり、楽しく読めるとは思うが。) 日本語で読める無料の教科書は、分野の裾野を広げ、楽しくプログラムを書ける・効率的なプログラムが書ける人を増やしてくれるだろう。

母国語で大学レベルの教科書が読める国は多くない。 より専門的な内容はもっぱら英語で読むことになるのだから、さっさと崖から突き落とせという意見ももちろんあるだろう。 自分自身も大学に入った頃は「英語で読む」のに抵抗があった。(「英語を読む」ところまでは幸い受験で慣れた。) この抵抗を可及的速やかに取り除くのが、アクセス可能な知識を押し拡げるためには極めて重要だろう。 大学生になっても日本語で教科書が読める恵まれた環境が、日本人の英語アレルギーを支えている可能性はある。

しかし、この教科書は専門への橋渡しの、その初っ端に位置している。 この教科書の前提とする知識は多くない。これに英語を加えるのは、対象読者を制限することになるだろう。 母国語でこのような入門書が読める、少なくともその選択肢があるのは望ましいことだと思う。

この教科書は、300ページ程度ながら、丁寧にゆっくりと、それでいて実用的な題材を納めている。 より本格的な教科書も出版されており、その中には翻訳されているものもある。 内容は素晴らしく、僕自身今でも度々読み返す。 少なくとも自分の持っている二冊は翻訳の質も良かった。(Algorithm DesignIntroduction to Algorithms) ただし、文量は大判1000ページ程度、価格は10000円程度と、気軽なものではない。 こういった専門家向けの入門書や、あるいはより専門的な書籍への橋渡しであるこの教科書を、日本語で・フリーでアクセスできるようにするのがこの翻訳の目的である。

ライセンス・著作権

原著(および翻訳書)のライセンスはCC-BY 2.5(https://creativecommons.org/licenses/by/2.5/) です。 また翻訳・クラウドファンディングについては事前に原著者にメールで連絡し、許可を頂いています。