USB NiMH ゆっくり充電器 (USB NiMH Slow Charger)

概要

秋月電子いたわりNiCd充電器 キットを元に、USBを電源とし、ニッケル水素電池を1本単位で2本まで充電できるようにした充電器です。

※単3と単4をそれぞれ2本ずつの計4本充電できるバージョンは別ブランチで準備しています。

使用したソフトウェア

KiCad 7.0

回路図

schema

基板パターン図

PCB pattern

部品表

Reference 個数 説明
BT1, BT2 2 単3電池ボックス
C1, C4, C5, C6 4 0.1μF 積層セラミックコンデンサー
C2 1 220μF 電解コンデンサー φ6.31 (100 ~ 470μF)
C3 1 10μF 電解コンデンサー
D1 1 11EQS04 ショットキーバリアダイオード
D2, D3 2 赤色LED
F1 1 1.1A ポリヒューズ
J1 1 USB Type-C コネクター同等品でも可
J2 1 ピンヘッダー 1x2、強制充電用
J3, J4 2 ピンヘッダー 1x2、単3/単4切り替え用
Q1 1 2SA1015
Q2, Q4 2 2SC1815
Q3, Q5 2 2SB834 他の代替候補としては2SA1441TTA008B2SB1185 (hFE class E)などがある。(TTA008Bは2SB834などとはピン配置が異なるので裏返して取り付ける。)
R1, R2 2 5.1kΩ 緑茶赤金、小型
R3 1 10kΩ 茶黒橙金、半固定抵抗RV1と同じ値
R4, R5, R9, R11, R15 5 10kΩ 茶黒橙金
R6, R12 2 15Ω 茶緑黒金、1/2W 小型
R7, R13 2 10Ω 茶黒黒金、1/2W 小型
R8, R14 2 1MΩ 茶黒緑金
R10, R16 2 680Ω 青灰茶金
RV1 1 10kΩ 抵抗R3と同じ値、GF063P
U1 1 LM393 2回路入りコンパレーター
U2 1 S-812C33 低損失CMOS三端子レギュレーター 3.3V 50mA

いたわりNiCd充電器からの変更点

  • 電源をACアダプターからUSB Type-Cに変更。
    • USB PD機器からも確実に電源を得られるようにするため、CC1, CC2には5.1kΩを接続。
    • 安全のため、ポリヒューズを使用。(1.1Aを使用したが0.5A程度でも十分かもしれない。)
  • 充電を2本単位から1本単位に変更。
    • 基準電圧を5.0Vから3.3Vに変更。(U2をS-81350からS-812C33に変更。)
    • 温度補償用のダイオード1S2076A 2本をショットキーバリアダイオード1本に変更。
      NiMH電池の充電終了時電圧には1本当たり約-3mV/Kの温度係数があります。PN接合には-2mV/Kの温度係数があることから、元の回路ではこれを3直列とし、2本分の-6mV/Kの補正を行っていました。ショットキーバリアダイオードの正確な温度係数は調べられませんでしたが、PN接合の温度係数より小さいよう(-1.0 ~ -1.5mV/K程度?)ですので、これをもって1本分の補正としています。
  • 秋月電子のB基板に実装できるよう、充電本数は2本に変更。
    • 充電回路は2セットになるため、コンパレーターをLM339からLM393に変更。
  • 充電電流を単3と単4用に切り替えられるようにJ3, J4を用意。
    • J3を開放すると電流設定抵抗はR6の15Ωとなり、BT1の充電電流は単4用の約70mA (= 1.05V / 15Ω)となります。(単4用変換アダプターなどを使用することを想定。)
    • J3を接続すると電流設定抵抗はR6とR7の合成で6Ωとなり、BT1の充電電流は単3用の約175mA (= 1.05V / 6Ω)となります。(2000mAhの場合は0.09C程度になるので充電時間は17時間程度が目安です。)
    • BT2については同様にJ4で設定できます。
  • 強制充電用にJ2を用意。
    • 通常充電モード: 通常、J2は接続して使います。充電終止電圧の監視が行われます。
    • 強制充電モード: J2を開放すると、Vrefは3.3Vに設定され、充電終止電圧の監視が行われません。
      新品のNiMH電池の内部抵抗は0.1Ω程度のようですが、寿命が近づいてくると徐々に内部抵抗が大きくなります。例えば内部抵抗が10Ωにもなると、70mAの充電電流を流すと端子電圧が0.7Vも上昇するため、正常に充電電圧の監視を行うことはできません。こうなってしまうと通常の充電器では充電することができません。そのような場合でも強制充電モードを使えば充電が可能です。ただし、充電電圧の監視がなくなってしまいますので、10~15時間程度で電池を外すようにしてください。
  • 2SB948が入手できなかったので、簡単に入手できた2SB834に変更。
  • RV1の回転方向を逆にし、右に回すほどVrefが高くなるように変更。

調整

J2を接続し、RV1を右に回しきって、700mAhの単4なら15時間程度、2000mAhの単3なら17時間程度充電します。この際、J3, J4は電池に合わせて設定しておいてください。電池を外して20分程度置いてから、再度電池を入れます。RV1を回して、LEDが点滅する位置に合わせて終了です。Vrefの電圧は1.40~1.45V程度になっているのが想定です。

完成品

完成品

License

CC0

Footnotes

  1. このサイズならば、まっすぐ足が奥まで挿せる。