日本語入力を効率化するためのローマ字入力法です。
AZIKを参考にしています。作者がAZIKの設定ファイルを作る際に間違ってAZITとつけてしまったのでそれを名前にしました。
以下の方針で設計しています。
- 使用頻度の高い二重母音・撥音は新たな母音としてキーを当てる。
- 使用頻度の高い拗音には新たな子音としてキーを当てる。
- 使用頻度の低い音は捨てて、使用頻度の高い音を書きやすくする。
- 英語の綴りに近い書き方ができるようにする。
- 分かりきった母音は省略できるようにする。
Google日本語入力(Mozc)用の設定ファイル
- mozc_azit.txt
を用意しています。
設定方法は以下の通りです。
- Google日本語入力の「プロパティ」を開く。
- 「一般」タブ > ローマ字テーブル「編集」のボタンを押す。
- 「編集」 ボタン > 「インポート」を選択する。
- 「現在のローマ字テーブルを上書きしますか?」と表示されるので「OK」を押す。
- ダウンロードしたGoogle日本語入力用の設定ファイルを選択する。
従来、拗音には「*y*」か「*h*」を用いていましたが、AZITでは「*j*」を使用します。例えば、
gjarndju → ぎゃらんどぅ
qari:pamjupamju → きゃりーぱみゅぱみゅ
となります。英語に「*y*」は存在しないし、英語以外の言語は「j」は「ヤ」か「ハ」の音なので、違和感は少ないかと思います。ただ、他の簡便なキーで代替可能なので、慣れてくると「*j*」はほとんど使用しなくなると思います。また、後述の母音拡張は「*j*」に対しては効果が低いので用意していません。
使用頻度の多い「しゃ」行・「ちゃ」行・「りゃ」行・「きゃ」行はそれぞれ子音に「x」・「c」・「l」・「q」の1字を使用することもできます。例えば、
xach → しゃちょう
qwlh → きゅうりょう
となります。
「ぢ」は「でぃ」と比べて使用頻度が少ないので、「di」には「でぃ」を当てています。「ぢ」には「dji」を使用してください。
dizuni: → でぃずにー
hanadji → はなぢ
となります。「ち」は「ci」でも書けますが、使用頻度が多くローマ字入力に慣れた指が覚えていることから「ti」を残しています。「てぃ」と書くには「tji」としてください。
nltjivu → ねいてぃぶ
「どぅ」は「dw」を、「でゅ」は「dju」を使います。
dwkatji → どぅかてぃ
djupb → でゅぽん
「hu」は「フ」の音でなく、「ふ」と書く場合は通常「fu」を使用するので、「hu」には「ひゅ」を当てています。 ほとんどの場合、「ヒュー」と伸ばすので「hw」には「ひゅー」を当てています。
huuga → ひゅうが
hwmn → ひゅーまん
同様に「vw」も「びゅー」、「pw」も「ぴゅー」となります。
revw → れびゅー kompwtar; → こんぴゅーたー
また、「*v」で「*ょう」を書くこともできます。例えば、
bvjh → びょうじょう
gvxh → ぎょうしょう
となります。
「ぁ」「ゃ」「ヵ」等の拗音に添える小さい字を入力する際は「@*」を使用します。
@a → ぁ
@ya → ゃ
@ka → ヵ
これらの字を文章を書く際に直接入力することは推奨しません。書き方が複雑な言葉は、IMEのユーザー辞書に登録するべきと考えています。
ハイフン「-」・コロン「:」で長音記号「ー」を書きます。
- → ー
: → ー
「:」の入力には「v:」・「@:」を使用します。
v: → :
@: → :
また、「r;」も「ー」になります。
bar; → ばー
「;」または「vv」で「っ」を書けます。
ha; → はっ
vvavva → っあっあ
「;」の入力には「v;」・「@;」を使用します。
v; → ;
@; → ;
よく使う促音については従来どおり2回子音を重ねることで促音にできます。
sikkari → しっかり
sippf → しっぱい
sossd → そっせん
jitty → じったい
baffa → ばっふぁ
ただし、「dd」・「gg」は促音になりません。この点はぎこちないです。
ddcw → でんちゅう
ggkh → ぎんこう
カタカナ語に頻出する「っく」・「っぐ」・「っと」・「っど」・「っくす」は子音1字+セミコロンで書けます。
pik; → ぴっく
panic; → ぱにっく
big; → びっぐ
met; → めっと
red; → れっど
mix; → みっくす
「ん」は従来どおりに「nn」でかけます。「n;」も使用できます。
nn → ん
n; → ん
ただし、「n」+子音では「ん」にはなりません。
「ぱん」・「ぴん」・「くん」・「べん」・「ぼん」等の2文字目に「ん」がくるものについては、例えば
pann → ぱん
と書くこともできますが、「an;」の代わりに「n」と打つことで、
pn → ぱん
と書けば良くなります。以下の5つの撥音を省略することができます。
従来 | 代替 | 由来 |
---|---|---|
ann | n | pan(パン)のn |
inn | g | ping(ピン)のg |
unn | m | um(ウン)のm |
enn | d | bend(ベン)のd |
onn | b | bomb(ボン)のb |
例えば、
sgbm → しんぶん
gbgd → ごんげん
dnrn → だんらん
となります。
「なん」は例外で、
nannpa → なんぱ
母音が連続するものです。例えば
bai → ばい
の代わりに、
by → ばい
と書けます。以下の4つの二重母音を省略できます。
従来 | 代替 | 由来 |
---|---|---|
ai | y, f | by(バイ)のy、knife(ナイフ)のf |
uu | w | new(ニュウ)のw |
ei | l | tail(テイル)のl |
ou | h | oh(オウ)のh |
例えば、
qhtl → きょうてい
xhty → しょうたい
kwsh → くうそう
nfzf → ないざい
となります。ただし、「nw」は「にゅう」となります。
nwloku → にゅうりょく
「ai」は頻出し、「y」だけでは打ちづらい場合があるので「f」も当てています。ただし、「ff」は撥音となります。「ふぁい」は「fy」と書いて下さい。
「v」を void からとって無音の子音としています。
vnsg → あんしん
vhvd → おうえん
ただし、「vw」は「びゅー」となります。「ヴぁ」行には、「vj*」を当てています。
子音のあとに句読点を打つと、母音を挿入します。例えば、
sr. → する。
sit. → した。
shd. → そうだ。
sosit, → そして、
になります。動詞の活用や助詞を考慮して、最もありそうな母音を入れています。
よく使う言葉は省略して書くこともできます。
kto → こと
tki → とき
rsii → らしい
mta → また
sks, → しかし、
ds. → です。
ms. → ます。
tsr. → とする。
dkir. → できる。
dz. → である。
一部の英単語は英語の綴りを入力するとカタカナ読みになります。
fry → ふらい
craft → くらふと
sick → しっく
disc → でぃすく
ant → あんと
abenomics → あべのみくす
milk → みるく
spark → すぱーく
egoist → えごいすと
kinect → きねくと
next → ねくすと
子音で終わる単語は「;」をつける必要があります。
input; → いんぷっと
fix; → ふぃっくす
dog; → どっぐ
nul; → ぬる
横列が子音、縦列が母音です。表はすべての変換は網羅していません。
v | k | s | t | n | h | m | y | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
a | あ | あ | か | さ | た | な | は | ま | や |
i | い | い | き | し | ち | に | ひ | み | |
u | う | う | く | す | つ | ぬ | ふ | む | ゆ |
e | え | え | け | せ | て | ね | へ | め | |
o | お | お | こ | そ | と | の | ほ | も | よ |
n | あん | かん | さん | たん | ん | はん | まん | やん | |
g | いん | きん | しん | ちん | にん | ひん | みん | ||
m | うん | くん | すん | つん | ぬん | ふん | むん | ゆん | |
d | えん | けん | せん | てん | ねん | へん | めん | ||
b | おん | こん | そん | とん | のん | ほん | もん | よん | |
y | あい | かい | さい | たい | ない | はい | まい | やい | |
f | あい | かい | さい | たい | ない | はい | まい | やい | |
w | びゅー | くう | すう | つう | にゅう | ひゅー | むう | ゆう | |
l | えい | けい | せい | てい | ねい | へい | めい | ||
h | おう | こう | そう | とう | のう | ほう | もう | よう | |
v | っ | きょう | しょう | にょう | ひょう | みょう | よう | ||
. | 。 | く。 | す。 | た。 | ん。 | む。 | |||
, | 、 | く、 | し、 | て、 | に、 | は、 | み、 | ||
; | っ | ; | っく | す | っと | ん | う | む | い |
r | w | g | z | d | b | p | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
a | ら | わ | が | ざ | だ | ば | ぱ |
i | り | うぃ | ぎ | じ | でぃ | び | ぴ |
u | る | う | ぐ | ず | づ | ぶ | ぷ |
e | れ | うぇ | げ | ぜ | で | べ | ぺ |
o | ろ | を | ご | ぞ | ど | ぼ | ぽ |
n | らん | わん | がん | ざん | だん | ばん | ぱん |
g | りん | うぃん | ぎん | じん | でぃん | びん | ぴん |
m | るん | ぐん | ずん | づん | ぶん | ぷん | |
d | れん | げん | ぜん | でん | べん | ぺん | |
b | ろん | うぉん | ごん | ぞん | どん | ぼん | ぽん |
y | らい | わい | がい | ざい | だい | ばい | ぱい |
f | らい | わい | がい | ざい | だい | ばい | ぱい |
w | るう | ぐう | ずう | どぅ | ぶう | ぴゅー | |
l | れい | げい | ぜい | でい | べい | ぺい | |
h | ろう | うぉー | ごう | ぞう | どう | ぼう | ぽう |
v | りょう | ぎょう | びょう | ぴょう | |||
. | る。 | ぐ。 | ず。 | だ。 | ぶ。 | ||
, | り、 | が、 | ず、 | で、 | ば、 | ||
; | ー | ー | っぐ | ず | っど | ぶ | っぷ |
f | q | x | c | l | j | |
---|---|---|---|---|---|---|
a | ふぁ | きゃ | しゃ | ちゃ | りゃ | じゃ |
i | ふぃ | くぃ | し | ち | り | じ |
u | ふ | きゅ | しゅ | ちゅ | りゅ | じゅ |
e | ふぇ | くぇ | しぇ | ちぇ | れ | じぇ |
o | ふぉ | きょ | しょ | ちょ | りょ | じょ |
n | ふぁん | きゃん | しゃん | ちゃん | りゃん | じゃん |
g | ふぃん | くぃん | しん | ちん | りん | じん |
m | ふん | きゅん | しゅん | ちゅん | りゅん | じゅん |
d | ふぇん | くぇん | しぇん | ちぇん | れん | じぇん |
b | ふぉん | きょん | しゃん | ちょん | りょん | じょん |
y | ふぁい | きゃい | しゃい | ちゃい | りゃい | じゃい |
f | ふぁい | きゃい | しゃい | ちゃい | りゃい | じゃい |
w | ふう | きゅう | しゅう | ちゅう | りゅう | じゅう |
l | ふぇい | くぇい | しぇい | ちぇい | れい | じぇい |
h | ふぉー | きょう | しょう | ちょう | りょう | じょう |
v | ふゅー | きょう | しょう | ちょう | りょう | じょう |
. | ||||||
, | ||||||
; | ふ | っく | っくす | っく | る |
tj | nj | hj | mj | wj | fj | gj | dj | bj | vj | pj | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
a | つぁ | にゃ | ひゃ | みゃ | うぁ | ふゃ | ぎゃ | ぢゃ | びゃ | ヴぁ | ぴゃ |
i | てぃ | にぃ | ひぃ | みぃ | ゐ | ふぃ | ぎぃ | ぢ | びぃ | ヴぃ | ぴゃ |
u | とぅ | にゅ | ひゅ | みゅ | うぅ | ふゅ | ぎゅ | でゅ | びゅ | ヴぅ | ぴゃ |
e | つぇ | にぇ | ひぇ | みぇ | ゑ | ふぇ | ぎぇ | ぢぇ | びぇ | ヴぇ | ぴぇ |
o | つぉ | にょ | ひょ | みょ | うぉ | ふょ | ぎょ | ぢょ | びょ | ヴぉ | ぴょ |
@ | @k | @t | @y | |
---|---|---|---|---|
a | ぁ | ヵ | ゃ | |
i | ぃ | |||
u | ぅ | っ | ゅ | |
e | ぇ | ヶ | ||
o | ぉ | ょ |
通常、IMEのon/offには「全角/半角」キーを用います。 しかし、日本語と英単語が混在する文章を書くときには、このキーは遠いので不便を感じます。 また、「vim」エディタを使用すると、「Esc」キーと誤って「半角/全角」キーを押してしまって混乱してしまうことがあります。 そこで、IMEのon/offには「変換」キーを使うことを提案しています。
mozc_keymap.txt
は、Google日本語入力(Mozc)用キー設定ファイルです。
なお、通常の設定でもカタカナへの変換は「F7」キーだけでなく「無変換」キーでも行うことができるので、使用すると便利だと思います。