pg_fraction - 分数型

pg_fractionは「分子の数/分母の数」の形式で記述した文字列を分数として扱い、四則演算と比較演算と一部の集約演算の能力をもつ、ユーザ定義型を提供するPostgreSQL拡張モジュールです。

pg_fractionでは、以下のような演算を可能とします。

test=# SELECT '1/2' + '2/3' as result;
 result 
--------
 7/6
(1 row)

fraction型として評価されると、約分した結果が格納されます。

test=# SELECT '2/6' AS result; 
 result 
--------
 1/3
(1 row)

重要な注意

この拡張モジュールは、商用利用を想定したものではなく、PostgreSQLのユーザ定義型の実装のサンプルとして開発したものである。

バージョン

0.1 - 開発中

サポートする書式

形式

[<負符号>]{<数字>...} <斜線> {<数字>...} ]

<負符号>はハイフン(-)です。
<数字>は、十進数字(0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9)です。
- Note: <数字>は現バージョンでは5桁までの数とします。6桁以上の数字を記述した場合には、形式エラーとなります。将来的には任意の桁数に対応したいと思いますが、あまり当てにしないでください。
<斜線>はスラッシュ文字(/)です。

記述例

fraction=# SELECT '3/4'::fraction;
 fraction 
----------
 3/4
(1 row)

fraction=# SELECT '3/6'::fraction;
 fraction 
----------
 1/2
(1 row)

fraction=# SELECT '0/10000'::fraction;
 fraction 
----------
 0/1
(1 row)

fraction=# SELECT '3/100000'::fraction;
ERROR:  pg_fraction:: overflow error (max=99999) "3/100000"
LINE 1: SELECT '3/100000'::fraction;
               ^
fraction=# SELECT 'foo/bar'::fraction;
ERROR:  pg_fraction:invalid input syntax: "foo/bar"
LINE 1: SELECT 'foo/bar'::fraction;
               ^
fraction=#

サポートする演算機能

pg_fractionは以下の演算をサポートします。

値取得関数

関数形式	機能	記述例
doble precision get_value(fraction)	分数の値をdouble precisionで返却する	get_value('1/3')

四則演算子

いずれの関数も、分子または分母数が99999を超えた場合にはエラーとなる。

演算子	機能	記述例
+	左辺に右辺を加算します	'1/2' + '3/4'
-	左辺から右辺を減算します	'1/2' - '3/4'
*	左辺と右辺を乗算します	'1/2' * '3/4'
/	左辺から右辺を除算します	'1/2' / '3/4'

集約演算関数

関数形式	機能	備考
fraction max(fraction)	最大値
fraction min(fraction)	最小値

比較演算子

比較演算子	機能	記述例
=	左辺と両辺が等しい場合は真	'1/2' = '3/4'
<>	左辺と両辺が等しくない場合は真	'1/2' <> '3/4'
<	左辺が右辺より小さい場合は真	'1/2' < '3/4'
<=	左辺が右辺以下の場合は真	'1/2' <= '3/4'
>	左辺が右辺より大きい場合は真	'1/2' > '3/4'
>=	左辺が右辺以上の場合は真	'1/2' >= '3/4'

インデックスサポート

pg_fractionではB-treeインデックスをサポートします。

パラレルクエリ

pg_fractionでは、+, -, *, / の算術演算子および、max/min関数がパラレルクエリに対応しています。

型変換サポート

5桁以内の整数値(-99999～99999)を分数型にキャスト可能です。
分子/分母の演算結果をdouble precision型にキャスト可能です。

インストール

$ git clone https://github.com/nuko-yokohama/pg_fraction
$ cd pg_fraction
$ make USE_PGXS=1
$ make USE_PGXS=1 install
$ make USE_PGXS=1 installcheck
$ psql your_database -c "CREATE EXTENSION pg_fraction"

TODO

README.mdの英語化
現バージョンでは分子、分母ともに桁数の制約がある。将来的には桁数制約を除去すべきだが、対応はかなり面倒だと思われる。
- 桁数チェックは約分前に実施するが、これは約分後に実施するのが望ましい。
現バージョンでは比較演算時に、分子数と分母数を一旦、浮動小数点(double)に型変換し、分子/分母の結果(double)、同士で比較する。

検証環境

OS：CentOS 7
PostgreSQL 10

著者

ぬこ＠横浜(nuko_yokohama)
- Twitter @nuko_yokohama